日本の瓦の歴史は、崇峻天皇元年(西暦588年)に4名の瓦博士によって伝えれたと日本書記に記されているほど長い歴史を持ち、仏教の興隆とともに大きく発展していきます。伝来・発祥の国、中国や朝鮮の瓦をもとに、日本の気候風土に合うように改良を重ね、千数百年の時を経て現在のようなデザインの瓦に至ったのです。
昔はお城や寺院など、限られた建造物にのみ瓦は使われていました。広く一般家庭に普及したのは、江戸時代末期頃だと言われています。
身分制度の厳しかった時代、庶民の家屋の屋根に瓦を葺くことは許されていませんでしたので、当時の一般家屋は現在と違い多くが板葺き屋根の長屋でした。「火事と喧嘩は江戸の花」と言われるほど、江戸の町は火事が多かったようです。現代のように十分な消化設備が整っていなかったため、一度火が出ると最後、辺り一帯を燃えつくすまで火は治まりませんでした。
江戸時代の消化手段は2通りでした。
1)「打ち壊し」と呼ばれる役人が、出火もとである家屋を壊す。
2)雨が降るのを待つ。
これに新たに加わったのが、「屋根に瓦を葺く」ことです。ご存知の通り、瓦は土で出来ています。木で出来ている板屋根と違い、火が燃え移ることはありません。またその重みで家屋が全焼する前に屋根が崩れ落ちるので、飛び火するのを防ぐのに効果的だと考えられたのです。屋根に瓦を葺くのは雨漏りを防ぐためではなく、火災時の消化が目的だったのです。その名残りとして、鬼瓦には「雲」の模様が描かれています。これは一種のおまじないのようなもので、もし火事が起こっても雨が降って火を消してくれますように、という思いが込められています。京都あたりでは漢字で「水」と書かれている瓦もあります。
日本の文化や風習、気候にもっとも適している瓦。この機会にぜひ、あなたの家の屋根にもいかがです?